📝 読解講座第16講:読解力を高める!倒置の正体を見破れ!
Never have I seen such a beautiful sight.
So loud was the explosion that the windows shook.
英語では通常、「主語+動詞」の語順が基本です。
しかし一部の文では、この語順がひっくり返る=倒置が起こります。
「なぜこんな語順になるのか?」
「疑問文じゃないのに助動詞が前に出てくるのはなぜ?」
読解でつまずきやすいこの現象――
今回は、その仕組みとルールを丁寧に攻略します!
🔍 本講で扱う5つの倒置パターン
パターン名 | 倒置例 | 解説 |
---|---|---|
否定語が文頭 | Never have I seen such chaos. | never など否定語が先頭に来ると、語順が疑問文型になる |
so を使った強調 | So difficult was the exam that many failed. | so が形容詞を強調し、語順が倒置される |
there 構文 | There is a book on the table. | 「〜がある・いる」を表す存在文の基本構文 |
仮定法の if 省略 | Had I known, I would have helped. | if が省略されると、助動詞が前に出て倒置になる |
方向・場所の副詞が文頭 | On the stage stood a famous actor. | 副詞が文頭に来ると、主語と動詞が倒置されることがある |
これらの倒置を見抜けるようになれば、
長文読解での混乱はぐっと減ります。
さあ、一緒に「倒置」の正体を暴いていきましょう!
✅ Q1. 次の英文を和訳しなさい。
So sudden was the change in temperature that everyone started shivering.
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文構造:
-
So sudden:副詞
so
が形容詞sudden
を修飾。
→「非常に突然の(=so + 形容詞)」という強調の意味を作っている。 -
was the change in temperature:倒置された主語+動詞。
→ 本来の語順はthe change in temperature was so sudden
。
→ 倒置により 動詞 was が前に出て、強調されている。 -
the change in temperature:名詞句。
・the change
が主語。
・in temperature
はchange
を修飾する前置詞句(「気温における変化」)。 -
that everyone started shivering:
so … that 構文の結果節。
・that
は接続詞。
・everyone
は主語。
・started
は過去形の動詞。
・shivering
は動名詞(start の目的語)で、「震えること」。
→「その結果、みんなが震え始めた」という意味を作っている。
解説:
この文は、so + 形容詞 + 倒置 の形で、「とても〜なので…」という意味を強調しています。
主語 the change in temperature
と動詞 was
が倒置されており、
「so sudden」がその主語を前から修飾する形で文頭に出ています。
that everyone started shivering
の部分は、so … that 構文における結果節であり、
「〜するほどとても〜だった」という原因と結果の関係を作っています。
全体の訳:
「気温の変化があまりにも突然だったので、みんな震え始めた。」
✅ Q2. 次の英文を和訳しなさい。
Had he followed the instructions carefully, the accident could have been avoided.
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文構造:
-
Had he followed the instructions carefully:
▶ 仮定法過去完了の if節 が倒置された形。
・本来の語順は:If he had followed the instructions carefully
各構成要素の関係:
─Had
:助動詞(過去完了の構造を作る)
─he
:主語
─followed
:過去分詞(過去完了の一部)
─the instructions
:follow
の目的語(「指示」)
─carefully
:副詞。動詞followed
を修飾(「注意深く」) -
the accident could have been avoided:
▶ 仮定法の 帰結節(=「実際には起きなかったが、〜だったかもしれない」)
各構成要素の関係:
─the accident
:主語
─could have been avoided
:
・could
:仮定法における助動詞(可能性)
・have been
:完了形の受け身構造
・avoided
:過去分詞(「避けられた」)
→ 全体で「避けられたかもしれなかった」
倒置について:
通常、仮定法過去完了の if節は「If S had + 過去分詞
」の形をとりますが、
この文では if を省略し、had を前に出すことで倒置が起きています。
→ Had he followed ~
の形がそれです。
全体の訳:
「もし彼がその指示に注意深く従っていたなら、事故は避けられたかもしれない。」
✅ Q3. 次の英文を和訳しなさい。
Not only did the movie win several awards, but it also broke box office records.
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文構造:
-
Not only did the movie win several awards:
▶ 否定語Not only
が文頭に出たことで、倒置構文が起きている。
各構成要素の関係:
─Not only
:副詞句(「〜だけでなく」)
─did
:倒置によって文頭に出た助動詞(強調構文でよく使われる)
─the movie
:主語
─win
:動詞(原形)
─several awards
:目的語(いくつかの賞) -
but it also broke box office records:
▶but also
との対になっている構造。
─it
:主語
─broke
:動詞(過去形)
─box office records
:目的語(興行成績の記録)
倒置について:
Not only
が文頭に出ると、通常の語順(the movie won)ではなく、
助動詞 did が前に出る倒置構文になります(did the movie win)。
Not only A, but also B の形で、2つの出来事を強調的に並列しています。
全体の訳:
「その映画は複数の賞を受賞しただけでなく、興行収入の記録も塗り替えた。」
✅ Q4. 次の英文を和訳しなさい。
Across the quiet park ran a group of children, laughing and chasing one another as the sun began to set.
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文構造:
-
Across the quiet park ran a group of children:
▶ 「場所を表す副詞句」が文頭に置かれたことで倒置が起こっている。
各構成要素の関係:
─Across the quiet park
:場所の副詞句(「静かな公園を横切って」)
─ran
:動詞(「走った」)
─a group of children
:主語(「子どもたちの一団」)
→ 通常の語順:A group of children ran across the quiet park
-
laughing and chasing one another:分詞構文(付帯状況)
▶ 「笑いながら、互いに追いかけ合いながら」 -
as the sun began to set:時を表す従属節
─as
:接続詞(〜するとき)
─the sun
:主語
─began to set
:動詞句(沈み始めた)
倒置について:
Across the quiet park
のように場所や方向を表す副詞句が文頭に来ると、
主語と動詞の語順が入れ替わることがあります。特に動作や情景描写で好まれます。
全体の訳:
「太陽が沈み始める頃、静かな公園を子どもたちの一団が笑いながら、互いを追いかけて走り抜けていった。」
✅Q5. 次の英文を和訳しなさい。
There was once a kingdom where dragons ruled the skies and heroes feared to approach.
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🔍 文構造:
-
There was once a kingdom:
─There
:形式主語(存在を導入)
─was
:be動詞(過去)
─once
:副詞(かつて)
─a kingdom
:真主語(王国)
→「かつて、ある王国が存在した」 -
where dragons ruled the skies:
─where
:関係副詞(場所を表す)
─dragons
:主語
─ruled the skies
:空を支配した
→「ドラゴンが空を支配する場所」 -
and heroes feared to approach:
─heroes
:主語
─feared to approach
:近づくことを恐れた
→「英雄たちですら近づくのを恐れた」
🌟 倒置のポイント:
There + be動詞 + 真主語
の倒置構文に加え、
関係副詞 where
による修飾、さらに and
による並列で
文全体に物語的な広がりが加えられています。
📝 全体の訳:
「かつて、空をドラゴンが支配し、英雄たちですら近づくのを恐れた王国があった。」
🔔 次回予告:読解講座第17講「省略」
「この英文、どこか足りない…?」
実は英文には、“書かれないルール”が存在します。
主語がない? 動詞が見つからない?それ、英語の〈省略のワナ〉かも!?
次回の読解講座では、“見えない言葉”を読み取る力を鍛えます!
💡 書かれていないものこそ、読解力の真価が問われる――