読解講座第10講:見えない主語をあばけ!不定詞構文で読む英文解体マスター講座

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🔎 導入:英文が難しく見えるのは、不定詞の“主語”が見えていないから?

英文読解に慣れていない人ほど、こんな英文に出会うと戸惑います。

It is not unusual for people living in big cities to feel isolated despite being surrounded by others.

「えっ、長い…!」「to の後ろって何してるの?」「誰が孤独を感じてるの?」と、混乱してしまうのも無理はありません。

でも、実はこの文の“設計図”を冷静に見てみれば、 「to feel isolated(孤独を感じる)」の主語が “for people living in big cities” だとわかります。

✅ 文の構造を分解してみよう

It is not unusual 
 └── for people living in big cities 
      └── to feel isolated 
           └── despite being surrounded by others.
  
  • It is not unusual:
    「It」は形式主語と呼ばれ、文の本当の主語(=to以下)を後ろに置くための“空の主語”です。
    「It is not unusual」は「珍しいことではない」という意味で、 第2文型(SVC)に分類されます。
    • S(主語)= It(形式主語)
    • V(動詞)= is
    • C(補語)= not unusual(It を説明する形容詞)
    「It = not unusual」となる構造がSVCの決め手です。
    本当の主語は後ろの「to不定詞句」であり、これは意味上の主語を含む形で補われます。
  • for people living in big cities:
    「to不定詞」の主語を示す意味上の主語です。
    「大都市に住む人々にとっては…」という意味で、あとに続く「to feel isolated(孤独を感じる)」の主語になります。
    for+人+to不定詞の形を見たら、「その人が~すること」と読みましょう。
  • to feel isolated:
    この部分が文の真主語(本当の主語)です。
    つまり、「孤独を感じること」が主語となって、「It is not unusual(珍しいことではない)」という述語につながります。
    全体で「都会に住む人々が孤独を感じることは、珍しくない」という意味になります。
  • despite being surrounded by others:
    「despite」は「〜にもかかわらず」を意味する前置詞で、ここでは副詞句として文全体に“逆接の背景”を加えています。
    「他人に囲まれているにもかかわらず、孤独を感じる」という意外性を表現することで、文に深みを与えています。

🔑 ポイントはココ!
文が長くなったとしても、 「to + 動詞」が何を主語にしているか を見抜ければ、英文の流れを一気に読みやすくなります。

不定詞の主語を見抜けるかどうか。
それが、難解な英文を一瞬で読み解けるかどうかの分かれ道です!

🔍 応用編:不定詞の主語を見抜く実戦演習!

ここからは、これまで学んだ知識を活かして、実際の英文を丁寧に読み解いていく練習に入りましょう。
文が少し長くなっても、「to不定詞の主語は誰か?」を見抜く力があれば、しっかり意味をつかめます!
以下の英文を読んで、日本語に訳してみましょう📝

📝 Q1.

It is widely recognized in the field of psychology that for individuals suffering from chronic stress to maintain a regular sleep schedule can significantly improve their overall mental health.

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💡 文の概要

この文は、「慢性的なストレスに苦しむ人々が規則正しい睡眠習慣を保つことがメンタルヘルスに良い影響を与える」という事実が、 心理学の分野で広く認識されていることを述べています。

🧱 文構造の分析(形式主語構文)

  • It:形式主語
  • is:be動詞
  • recognized:補語(過去分詞で It を説明)
  • widely:recognized を修飾する副詞
  • that以下:真の主語(内容)

that節の中にはさらに不定詞構文があり、
for individuals suffering from chronic stress to maintain ... が主語、
can significantly improve ... が述語動詞です。

🧠 文型分析(SVC)

It is recognized の部分は SVC の第2文型です。

  • S: It(形式主語)
  • V: is(be動詞)
  • C: recognized(Itを説明する補語)
  • 副詞 widely は recognized を修飾

🔍 意味上の主語の特定

「to maintain」の主語は「for individuals suffering from chronic stress」=「慢性的なストレスに苦しむ人々」です。

📝 和訳

慢性的なストレスに苦しむ人々が規則正しい睡眠習慣を維持することは、彼らの全体的なメンタルヘルスを大きく改善する可能性があると、心理学の分野では広く認識されている。

🔎 読解ポイントと補足

  • It is recognized that ~ は形式主語構文として頻出。
  • for+人+to不定詞 は「その人が~すること」を意味する名詞句。
  • 「maintain a regular sleep schedule」は健康に関する英文でよく使われる自然な表現。
  • 「can significantly improve」は「大きく改善しうる」という強調された可能性表現。

📝 Q2.

For any organization aiming to expand its global influence, to establish trust with local communities while respecting cultural norms is often the most challenging yet essential step.

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💡 文の概要

この文は、「グローバルに進出しようとする組織にとって、地域との信頼構築は文化を尊重しながら行う必要があり、それが最も難しくも不可欠なステップである」ということを伝えています。

🧱 文構造の分析

  • For any organization aiming to expand its global influence:
    「to不定詞」の意味上の主語。
    さらにその中の「aiming to expand~」は organization を後ろから修飾する現在分詞(形容詞的用法)。
  • To establish trust with local communities:
    文全体の主語。不定詞の名詞的用法。
  • while respecting cultural norms:
    「to establish trust」にかかる副詞句で、「文化的慣習を尊重しながら信頼を築く」という 方法を表している。
  • is: be動詞(主語と補語をつなぐ)
  • the most challenging yet essential step: 補語(C)。主語「to establish trust」を説明。

🧠 文型分析(SVC)

この文は典型的な第2文型です。

  • S: to establish trust with local communities
  • V: is
  • C: the most challenging yet essential step

🔍 意味上の主語の特定

不定詞「to establish trust」の主語は「for any organization aiming to expand its global influence」
→ グローバル展開を目指すすべての組織にとって

📝 和訳

グローバルな影響力を広げようとするいかなる組織にとっても、文化的慣習を尊重しながら地域社会との信頼関係を築くことは、最も困難でありながらも不可欠なステップである。

🔎 読解ポイントと補足

  • For+人+to不定詞:その人が〜すること、という意味上の主語構文。
  • aiming to expand:現在分詞で organization を後ろから修飾。
  • while respecting:文化を尊重しながら、という副詞的表現。
  • the most challenging yet essential:対比表現で論理的に印象を強めるフレーズ。

📝 Q3.

Although it may seem counterintuitive at first, for students who struggle with attention to take frequent short breaks during study sessions has been shown to improve focus and retention.

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💡 文の概要

この文は、「一見逆に思えるかもしれないが、集中力に悩む学生にとって、勉強中に短い休憩を頻繁に取ることは、集中力と記憶力を高めることが実証されている」という内容を伝えています。

🧱 文構造の分析

  1. Although it may seem counterintuitive at first:
    「一見逆に思えるかもしれないが」という 譲歩の副詞節。主文の読解を妨げやすいので注意!
  2. for students who struggle with attention:
    「to take」の意味上の主語。
    関係代名詞「who struggle with attention」は「students」を修飾し、「集中力に悩む学生たち」という意味になります。
  3. to take frequent short breaks during study sessions:
    文の主語となる不定詞句。「休憩を頻繁に取ること」を表します。
  4. has been shown:
    「〜であることが示されている」という 現在完了形の受動態。学術英文で非常によく使われる表現。
  5. to improve focus and retention:
    「has been shown」を補足する 副詞的用法の不定詞。結果・目的を表す。

🧠 文型分析

この文は第1文型(SV)。主語が非常に長く、副詞節と関係詞も入り込んでいるため、文の骨格が見えづらくなっています。

  • S: for students … to take …(不定詞句)
  • V: has been shown(現在完了・受動態)
  • 副詞句: to improve …(結果・目的)

🔍 意味上の主語の特定

「to take」の主語は「for students who struggle with attention」=「集中力に悩む学生たち」です。

📝 和訳

一見直感に反するように思えるかもしれないが、集中力に悩む学生たちが勉強中に頻繁に短い休憩を取ることは、集中力と記憶保持を高めることが示されている。

🔎 読解ポイントと補足

  • Although〜 の譲歩節は読みの流れを乱しやすいので、主文との切り分けを意識。
  • has been shown to〜:TOEICで頻出の「〜と示されている」表現。
  • frequent short breaks:休憩は可算名詞。「頻繁な・短い」形容詞の連続に注意。
  • focus and retention:「集中」と「保持」は学術系の定番セット語彙。

📝 Q4.

To respond promptly to client inquiries, even during high-demand periods, has proven to be a key factor in maintaining customer satisfaction in the service industry.

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💡 文の概要

この文は、「たとえ繁忙期であっても、顧客からの問い合わせに迅速に対応することは、サービス業における顧客満足度の維持において重要な要素であると証明されている」と述べています。

🧱 文構造の分析

  1. To respond promptly to client inquiries:
    文全体の主語。不定詞の名詞的用法。「問い合わせに迅速に対応すること」
  2. even during high-demand periods:
    副詞句。「高需要期であっても」という条件を補足する表現で、respond の動作を修飾
  3. has proven:
    現在完了形の動詞。「〜であると証明されてきた」
    prove は「〜であると判明する・証明する」という意味の自動詞
  4. to be a key factor:
    「has proven」を補足する 副詞的用法の不定詞句(結果を表す)。
    →「〜であることが証明された」
  5. in maintaining customer satisfaction in the service industry:
    「a key factor(重要な要素)」を具体的に説明する 形容詞的用法の前置詞句
    →「顧客満足を維持する上での重要な要素」

🧠 文型分析

この文は 第1文型(SV)。主語が長く、途中に副詞句が挿入されていて見えづらくなっています。

  • S: To respond promptly to client inquiries(不定詞句)
  • V: has proven(現在完了・自動詞)
  • 補足: to be a key factor(結果を補う不定詞句)

🔍 副詞の修飾関係の整理

  • promptly:respond を修飾(「迅速に対応する」)
  • even during high-demand periods:respond にかかる条件補足の副詞句

📝 和訳

たとえ需要が高まる時期であっても、顧客からの問い合わせに迅速に対応することは、サービス業において顧客満足度を維持するための重要な要素であることが証明されている。

🔎 読解ポイントと補足

  • to不定詞が主語という構造は上級読解で頻出。
  • prove to be 〜 は「〜であると判明する・証明される」の重要構文。
  • in + 動名詞 の形は「〜する上での」の定型表現。
  • 挿入されている副詞句に惑わされず、主語と動詞を見抜くことが読解の鍵!

📝 Q5.

It is often considered a valuable leadership trait for a manager to remain calm and solution-focused in the face of unexpected crises.

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💡 文の概要

この文は、「予期せぬ危機に直面したときに、冷静さと解決志向を保つことは、マネージャーにとって貴重なリーダーシップ資質と見なされることが多い」と伝えています。

🧱 文構造の分析(形式主語構文+評価構文)

  1. It:
    形式主語。本当の主語(to不定詞句)を後ろに置くための「仮の主語」。
  2. is often considered:
    「〜と見なされている」という受動態(be動詞+過去分詞)+副詞。
    評価や意見を述べるときによく使われる構文。
  3. a valuable leadership trait:
    補語(C)。形式主語 It を説明する名詞。
  4. for a manager to remain calm and solution-focused:
    文の本当の主語。名詞的用法の不定詞句
    「for+人+to不定詞」の形で、動作主を明確にしています。
  5. in the face of unexpected crises:
    「remain」にかかる 副詞的用法の前置詞句。「危機に直面しても」という条件的背景を補足。

🧠 文型分析(SVC)

この文は 形式主語構文を用いた第2文型(SVC) です。

  • S: It(形式主語)
  • V: is considered(受動態)
  • C: a valuable leadership trait(補語)
  • 真主語: for a manager to remain calm and solution-focused

🔍 文法的ポイント整理

表現 文法的用法 修飾対象 内容
for a manager to remain… 名詞的用法の不定詞句 It の真主語 マネージャーが〜すること
in the face of unexpected crises 副詞的用法の前置詞句 remain(動詞) 〜に直面しても

📝 和訳

予期せぬ危機に直面したときに、冷静さと問題解決志向を保てることは、マネージャーにとって貴重なリーダーシップの資質と見なされることが多い。

🔎 読解ポイントと補足

  • It is considered A for B to〜:評価構文の定番。試験頻出!
  • remain calm and solution-focused:第2文型内部のSVC構造に注目
  • in the face of〜:困難に直面しても、という状況描写の熟語表現
  • 「trait(資質)」と「leadership」のコロケーションに注目

🌟次回予告|読解講座・第11講

“〜すること”の主語は誰だ⁉
動名詞構文の迷宮に挑め!

たとえばこんな英文──
“Their constantly interrupting the speaker was annoying.”

ん?「迷惑だった」のは「彼ら」? それとも「interrupting」?
文のカタチが変わっただけで、主語が見えなくなる……?

でも大丈夫。
次回は “動名詞の主語” を見抜く力をつけて、
長くて難しそうな英文も、構造がスルスル見える目 を手に入れよう!

🔓 キーワードは:

  • 所有格+動名詞
  • 意味上の主語
  • 主語と述語の“見えないつながり”
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